暮らしの中で、ふとした瞬間に気になる「音」。それが些細な生活音なのか、不快な騒音なのかは、住環境や個人の感じ方によって大きく変わります。集合住宅や戸建てに関係なく、現代の暮らしにおいて「騒音」はご近所トラブルの大きな原因のひとつとなっています。
私自身も、子供の夜泣きがひどい時期はかなり周りのご近所さんに気を使っていましたし、いつかご近所の方から注意が入るのではないかと毎日ひやひやしていました。正直この時期は本当につらかったです…
私は、周りの音よりも自分の生活音や子供の泣き声・走り回る音がご近所さんの迷惑になっていないかが不安でした。同じような悩みを抱えていませんか?
この記事では、騒音の種類や影響、そして背景にある問題を詳しく解説し、その対策方法も説明します。→対策方法のみ知りたい方はこちら

騒音の種類と発生源
騒音にはさまざまな種類があり、発生源も多岐にわたります。それぞれが日常生活の中でどのように響くのかを理解することが、対策の第一歩となります。
生活音に分類される騒音
足音・物音

「上の階の子どもが走り回る音が毎日響いてくる…」「椅子を引く音で何度も目が覚めた…」こうした声は、集合住宅において非常に多く聞かれます。特にフローリングの場合、床材が硬く音が反響しやすいため、歩く音や物を落とした時の音が階下にダイレクトに伝わります。子どもが全力で走り回ると、軽い地震のような衝撃が感じられることもあるほどです。さらに、大人の足音でさえも、体格や歩き方によっては“ドスドス”と響くことがあり、特に夜間や早朝には深刻な睡眠妨害になります。
話し声・笑い声

隣室からの会話や、電話の声、テレビの音がクリアに聞こえてくる…。そんな経験はありませんか?正直この問題が一番ストレスになるのではないかなと思います。壁の厚みや遮音性が低い物件では、普通の声量でもまるで同じ部屋にいるかのように感じられることがあります。特に夜間や深夜、静まりかえった空間では、少しの声でも思いのほか大きく聞こえてしまいます。子育て中の家庭では、乳幼児の泣き声や夜中の授乳時の物音が、隣人の眠りを妨げてしまうこともあります。また、友人を招いてのホームパーティーや、長電話も、周囲には騒音として届いている可能性があります。
ドアや窓の開閉音

玄関のドアを勢いよく閉める音、引き戸を開けるときの「ガラガラ…」という音。。そして、時間帯や頻度によっては強い不快感を与える要因になります。特に早朝や深夜の開閉は、静かな環境に響き渡り、「目が覚めてしまった」「小さな子が起きてしまった」といったトラブルに繋がることも少なくありません。生活リズムの違いが顕著に現れる部分でもあり、近隣住民同士のトラブルになりやすいポイントです。
給排水・トイレの流水音

トイレの水を流す音、シャワーの音、洗面所の使用音…。これらは主に水回りに関する騒音ですが、夜間に使われた場合、思いのほか響くことがあります。とくに、配管を通じて音が伝わる構造になっている集合住宅では、「隣の家のトイレの音が自分の部屋で聞こえる」なんていうケースも。防音材で対応しにくい部分でもあるため、深夜や早朝の水回りの使用には、注意が必要です。
家電製品の作動音

掃除機や洗濯機、ミキサー、ドライヤーといった生活家電の音も、時間帯によっては大きなストレスのもとになります。例えば、仕事で帰りが遅くなる人が、夜間に洗濯を始めたことで「ゴウンゴウン」という音が深夜まで続き、睡眠を妨げた…というのはよくある話。防振ゴムや静音タイプの家電を選ぶなど、配慮次第で軽減できる部分もあるため、使い方ひとつで印象が大きく変わります。
屋外設備の稼働音

意外と見落とされがちなのが、屋外に設置された設備の音です。エアコンの室外機や給湯器の稼働音が、隣接する部屋の窓付近にあると、「外から低音がずっと響いている」と感じることがあります。音そのものはそれほど大きくなくても、長時間・継続的に鳴り続けることで、じわじわと精神的な疲労を与えてしまうのです。特に窓を開けて過ごしたい季節には、余計に気になるポイントとなります。
趣味や娯楽の騒音|「音」が思わぬトラブルに?
~楽しい時間が“迷惑”に変わる、その境界線とは~
私たちは、毎日の生活の中で趣味や娯楽を楽しむことで、心のリフレッシュやストレス発散をしていますよね。楽器の練習、ゲームや映画、子供とのコミュニケーションやペットとのふれあい…。どれも生活に彩りを与えてくれる大切な時間です。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。
その「楽しい音」、もしかしたら壁の向こうの誰かにとっては“騒音”になっているかもしれません。
楽器の音

ピアノ、ギター、ドラムなどの楽器は、防音対策がなければ深刻な騒音トラブルになります。練習時間や曜日、音量への配慮が必要です。
楽器などを禁止している賃貸マンションなどもあるくらいなので、楽器などを使用する人は注意が必要です。契約違反とみなされる場合もあるので気をつけましょう。
音響機器の音量

テレビやホームシアター、ゲームの効果音・会話などやカラオケ機器の重低音などは、壁や床を通じて広がりやすく、騒音に感じられやすいです。ここ数年で非常に多く聞かれるのは、ゲームをしながら会話している時の騒音です。
ペットの鳴き声

犬・猫の鳴き声などが長時間・頻繁に続くと、近隣に精神的負担をかけることになります。
外部からの騒音
- 車やバイクの騒音:アイドリング音や空ぶかし、エンジンの始動音などが深夜や早朝に響くと、睡眠を妨げる原因になります。それから、車のドアを閉める時の音。戸建てなら隣のお家が車のドアを閉めただけでも、振動が起きたりする場合もあります
- 屋外での騒ぎ声:庭でのバーベキュー、夏のプール遊び、大声での会話なども、度が過ぎれば騒音と捉えられます。
- ごみ出し関連の音:袋の音や容器の移動音、カラスの鳴き声など、思わぬ形で生活音が騒音に感じられることもあります。
下記に外部からの騒音対策を紹介しています。

騒音が心と体に及ぼす深刻な影響
“うるさい”だけでは済まされない、そのダメージとは?
日々の暮らしのなかで、私たちはさまざまな音に囲まれて生活しています。
しかし、ある一定のレベルや時間を超えて続く「騒音」は、単なる不快感にとどまらず、心や体に深刻なダメージを与える原因にもなります。
特に近年では、在宅勤務やオンライン学習の増加によって「家庭内での静けさ」がより重要になってきました。そのような中で、生活音や趣味の音が原因でストレスを抱えてしまう人が増えている傾向にあります。
もし今、音に関する不安や悩みを感じているなら、一人で抱え込まず、信頼できる相談先に声をあげてみてください。
音のない静けさは、健康と安心のために、とても大切な「環境資源」なのです。
精神的・心理的な影響

慢性的なストレス状態に
「またあの音がする…」
「今日は眠れるだろうか…」
そんなふうに、音のことを意識し続けていると、知らず知らずのうちに精神的な緊張が蓄積されていきます。
それが日々の小さなイライラにつながり、やがては慢性的なストレス反応を引き起こすことに。
特に「自分ではコントロールできない外的要因(音)」は、無力感を伴いやすく、精神的ダメージが大きくなりやすいのが特徴です。
気にすれば気にしてしまうほど、音は大きく聞こえてきますよね。
騒音でイライラして、なぜこっちが我慢しないといけないんだと考えてしまい、さらにイライラしてしまう悪循環。こうなってしまうとホント最悪です。
必ず我慢しないで何か対策しましょう。
そうすることで、なんらかの改善は必ず現れます。
集中力・注意力の低下
「仕事に集中しようとしても、隣の話し声が耳に入ってきて気が散る…」
「子どもの勉強中に、上の階の足音が気になる…」
こうした状況では、集中力が著しく低下し、作業効率や学習効果にも大きな悪影響を及ぼします。
脳は常に「音を意識している」状態となり、深い思考や創造的な作業が困難になるのです。
ちょっとした音でも脳が反応します。たまに聞こえるくらいなら大丈夫ですが、小さな音でも継続的に聞こえてくるとどうしても音の方に意識がもっていかれてしまうんです。
特に在宅ワークや受験生がいる家は、防音対策は必須なくらい重要だと考えてもいいのではないでしょうか。

音に対する過敏反応
長期間にわたり騒音に悩まされていると、人は次第に音に対して敏感になっていきます。
「以前は気にならなかった冷蔵庫の音さえ、今ではイライラする」
「隣のくしゃみや物音が異常に気になる」
このように、日常的な音にさえストレスを感じるようになるケースもあり、いわゆる「音過敏(聴覚過敏)」の状態に近づいていきます。
不安感・恐怖心
特に夜間に謎の物音が続いたり、過去に近隣との騒音トラブルを経験した人にとっては、
「また何かされるのでは…」
「次は何の音が来るんだろう…」
といった漠然とした不安感や恐怖感が日常的に付きまとうようになります。
ご近所付き合いへの悪影響
音の問題をきっかけに、住人同士の関係が悪化してしまうことも珍しくありません。
「騒音のことで注意したら、挨拶をしても無視されるようになった」
「関係が気まずくなって、顔を合わせるのも避けてしまう」
こうした悪循環が生まれると、暮らしそのものの快適さや安心感が損なわれてしまいます。
身体的な影響

睡眠障害の引き金に
音によって睡眠が妨げられると、心と体の両方に深刻な影響が出てきます。
「寝入りばなに物音がして眠れない」
「早朝の洗濯機の音で目が覚める」
このような状態が続くと、慢性的な睡眠不足や浅い睡眠の癖がついてしまい、日中の疲労感や集中力低下、ミスの増加へとつながります。
自律神経の乱れ
睡眠が浅くなり、休息がうまく取れないと、自律神経のバランスが崩れやすくなります。
その結果として、
- 頭痛
- めまい
- 胃腸の不調
- 息苦しさ
といった「原因がよくわからない体調不良」が慢性的に現れるようになることも。
聴力へのダメージ
意外と知られていないのが、大音量の継続的な曝露による耳へのダメージです。
たとえば、隣人の音響機器の重低音が日々響いている、隣のペットの鳴き声が長時間続くなどの状況は、耳にとって大きなストレスになります。
これが続くと、耳鳴りや一時的な聴力低下、そして長期的には「感音性難聴」のリスクも否定できません。
うつ症状の発症リスク
騒音がもたらす精神的ストレスは、軽視できません。
音による苦痛が長期間続いた場合、うつ状態やパニック障害のきっかけになることもあります。
特に、「誰にも相談できない」「我慢し続けている」という状況では、孤立感が強まり、深刻なメンタル不調へとつながることもあるのです。
生活そのものへの悪影響

生活リズムの崩壊
深夜の騒音によって睡眠が妨げられると、翌朝起きるのがつらくなり、遅刻や不規則な生活の原因になります。
それが積み重なると、体内リズムの乱れやホルモンバランスの不調など、日常生活全体への影響が出てきます。
家が“くつろげない場所”になる
本来、家はリラックスできる「安心できる場所」であるはずです。
しかし、四六時中何らかの音に悩まされていると、家にいること自体がストレスになるという本末転倒な状態に。
「外のほうが気が休まる」と感じるようになると、心身の回復に必要な“休息の場”が奪われてしまうのです。
仕事・学業の支障
現代では、在宅勤務やリモート授業が当たり前になってきました。そのなかで「静かな環境」はもはや生活インフラの一部といえるでしょう。
騒音によって集中が妨げられると、仕事の能率低下や学業成績への悪影響が避けられません。
トラブルの長期化・深刻化
音の問題に我慢が限界を超え、苦情を申し入れた結果、
- 無視される
- 逆ギレされる
- 嫌がらせを受ける
といった「二次被害」に発展してしまうケースも。
騒音トラブルは感情的な問題に発展しやすいため、対応には冷静さと慎重さが求められます。
騒音トラブルが深刻化する背景とは?
単なる音の問題では済まされない、その“見えにくい根っこ”
「隣の足音がうるさくて眠れない」
「テレビの音が朝から晩まで響いてくる」
「何度言っても直してくれない」
集合住宅において、こうした“騒音トラブル”は非常に多く発生しています。しかし、実際に解決までたどり着くケースは多くありません。上記でも言いましたが、むしろ注意したことをきっかけに関係が悪化したり、無視されたりするなど、深刻化してしまうケースが少なくないのです。
では、なぜ音のトラブルはここまでこじれてしまうのでしょうか?
そこには、単なる音量の問題にとどまらない、いくつもの複雑な背景があるのです。
無自覚による悪化
騒音トラブルがこじれる大きな要因の一つが、“出している側の無自覚”です。
例えば、
- 日常的に子どもが走り回っている音
- 夜遅くに掃除機をかける音
- 音楽の音
こうした音を「普通の生活音でしょ」と考える人は少なくありません。注意されたとしても、「そんなに神経質になるほうが悪い」「被害妄想では?」と受け取られてしまい、改善にはつながらないことが多いのが現実です。
このような“騒音の自覚のなさ”は、トラブルの根を深くしてしまうのです。

注意しに行って「普通の生活音でしょ」とか言われると思ったら、怖くて注意できない。
感じ方の違い「うるさい」と感じる人と、感じない人
音というのは、数値化しにくく、人によって感じ方が大きく異なるという厄介な性質があります。
例えば、
- 子どもの声を「元気で微笑ましい」と思う人もいれば、「耳障りで耐えられない」と思う人もいます。
- 足音や物音も、「生活の一部」と受け入れる人もいれば、「地響きのように感じて眠れない」と悩む人もいます。
このような感覚のギャップが、当事者同士のすれ違いを生み出し、話し合いが平行線になる要因になります。
「気にしすぎでは?」といった発言は、被害側の心を深く傷つけることも。逆に、「そんなことで注意された」と加害側が不満を感じることもあり、関係性がどんどん悪化してしまうのです。
建物構造による限界
現代の集合住宅は、一定の防音性能を備えているとされる一方で、構造上の限界も存在します。
特に響きやすいのが、
- フローリング床を伝わる「足音」や「物の落下音」などの【固体伝播音】
- 壁越しの「話し声」や「テレビの音」などの【空気伝播音】
最近ではリノベーションによって和室からフローリングに改装された物件が増え、防音対策が不十分なまま床材が硬質化しているケースも少なくありません。
どんなに住人が気をつけていても、建物そのものが音を伝えやすい構造である場合、根本的な改善は難しいのが現実です。
また、築年数の古いアパートや団地では、防音材が一切入っていない壁や天井が存在することもあり、「隣のくしゃみが聞こえる」というレベルで音が筒抜けになっているケースすらあります。

私が昔に住んでいたマンションでは、隣の家のアラーム音が非常に大きくてこっちが起きてしまうくらいでした。毎朝5時にアラーム音が…
管理会社や大家の対応不足
「管理会社に相談したのに何もしてくれなかった」
「注意してくれたけど、“ご協力お願いします”程度で終わりだった」
これは騒音トラブルの被害者からよく聞かれる声です。
管理者側が消極的、もしくは中立を装った対応しかしない場合、問題は長期化し、住民の不満はどんどん膨らんでいきます。
特に問題なのは、
- 明確な対処ルールや規約が存在しない場合
- 苦情を受けても“注意喚起ポスター”で済ませてしまう場合
- 実際の音の大きさを確認しようとしない場合
こうした「表面的な対応」は、かえってトラブルを悪化させることもあります。
管理会社にとって騒音トラブルは「住民間トラブル」として扱われがちですが、その放置が住環境の悪化や、住民の退去・クレームの原因になることを理解していない担当者も少なくないのが現状です。
このように、複数の問題が複雑に絡み合っています。
そして一度こじれてしまうと、当事者同士での解決が難しくなり、精神的なストレスや人間関係の破綻、生活の質の低下といった深刻な影響を引き起こすのです。
だからこそ、「音の感じ方には個人差がある」という前提を大切にしながら、当事者も管理者も“音に対する共通理解”を持つことが必要不可欠です。
「気づかないうちに、自分が“出している側”になっているかもしれない」
「音の悩みは、意外と深刻かもしれない」
そうした視点をもって、お互いに暮らしやすい環境を作っていくことが、これからの集合住宅には求められています。
それでは、どのような対策があるのか、また、上手な注意の伝え方を紹介していきます。
騒音トラブルに発展させないために
~“ちょっとした気づかい”が、快適なご近所関係を守る~
集合住宅や密集した住宅街での暮らしでは、“音”をめぐるトラブルが後を絶ちません。
でも実は、その多くは「ちょっとした配慮」や「心がけ次第」で、未然に防げるものでもあるのです。
「気をつけていたつもりだった」では手遅れになる前に、今日からできる“事前対策”を見直してみましょう。
1. 自分の「生活音」を意識してみる
まず大前提として、自分が出している音に“気づく”ことが第一歩です。
普段、当たり前のように行っている行動でも、時間帯や建物の構造によっては、周囲に大きな音として届いている可能性があります。
チェックしてみたい主な生活音
- 足音(特にスリッパを履かずに歩く)
- 椅子を引く音、物を落とす音
- ドアの開閉音(勢いよく閉めていないか?)
- テレビや音楽の音量
- 洗濯機や掃除機の稼働時間
- 子どもやペットの走り回る音や鳴き声
対策ポイント
- スリッパやラグマットで「床から伝わる音」をやわらげる
- ドアにはクッション材を貼って“バタン!”音を防ぐ
- 家電は「日中」に使用し、夜間は控える
- 窓を閉めて、音の拡散を防ぐ
音を“完全になくす”ことはできませんが、“減らす工夫”なら誰でもすぐに始められます。
2. 「音が響きやすい時間帯」に注意する

同じ音でも、「昼」と「深夜」では受け取られ方がまったく違います。
例えば、朝7時に掃除機をかけることは、自分にとっては清々しいスタートかもしれませんが、隣人にとっては「安眠を妨げる騒音」と感じられるかもしれません。
特に気をつけたい時間帯:
- 早朝(6時〜9時)
- 深夜(21時以降)
時間帯をずらす工夫:
- 洗濯機などは日中にまとめて使用する
- ギターやピアノなどの楽器は夕方までに練習を終える
- 小さな子どもには「お静かタイム」を楽しく教える(例:絵本タイム)
時間帯に合わせた“音のマナー”を心がけることで、トラブルの多くは回避できます。
3. 「防音対策グッズ」を積極的に取り入れる
音に対する不安があるなら、防音グッズの導入は非常に効果的です。最近は手軽に導入できる製品も多く、賃貸住宅でも使えるものが増えています。
おすすめ防音アイテム
- 防音マット・ジョイントマット:床衝撃を吸収。子どもやペットがいる家庭に◎
- 厚手のカーテン・防音カーテン:窓からの音漏れ・外音の侵入を遮断
- 椅子・家具の脚にフェルトクッション:引きずる音を防ぐ
- ドアクッションテープ:閉める音をソフトに
- スピーカーの下に防振パッド:重低音の振動伝播を抑制
コストをかけずとも、“音が外に出る前に抑える”という考え方で工夫することが大切です。
4. 新生活・引っ越し時は「最初の印象」が肝心
もしこれから新しい住まいに引っ越す予定がある方は、「最初のご挨拶」をぜひ忘れずに。
たった一言の挨拶で、相手との心理的な距離感がぐっと縮まり、ちょっとした生活音も“お互いさま”と受け止めてもらえる雰囲気が生まれます。
好印象なコミュニケーション例:
- 「子どもがいて少し騒がしくなるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします」
- 「夜勤があり、少し変則的な生活リズムになりますが、ご迷惑にならないよう気をつけます」
最初に丁寧なコミュニケーションをしておくと、**何かあった時にも「相談しやすい関係」**が築けるので安心です。
5. 定期的に「音」への気づかいを見直す
人は慣れてくると、最初にしていた気づかいを忘れてしまいがちです。
とくに、家族構成やライフスタイルに変化があったとき(子どもの成長・在宅勤務の増加など)は、定期的に「音」に関する見直しを行うことがトラブル防止につながります。
チェックポイント例:
- 最近、生活音が大きくなっていないか?
- 近所に新しい住人が入居していないか?
- 家族で「音について」話し合ったことがあるか?
また、近隣の生活音にも耳を傾けることで、自分の音の強さを相対的に把握することもできます。
外部からの騒音を防ぐには?

1. 【窓からの音】もっとも侵入ルートが多い場所
窓は光や風を取り入れる一方で、騒音もダイレクトに入ってくる最大の“音の入口”です。
特に単板ガラス(1枚ガラス)の古いサッシでは、わずかな隙間からでも音が入り込みやすくなっています。
◆ 対策①|防音カーテンを取り入れる
厚手で密度の高い防音カーテンは、音の通過を物理的に遮断する最も手軽な方法。
とくに「遮光+遮音」の2重構造のカーテンは、外の光と音の両方をしっかりブロックしてくれます。
・窓全体を覆える長さ・幅にする(床まで届くタイプが◎)
・できれば2重吊り(レース+厚手カーテン)で重ねると遮音性UP
しかし効果期待度は低め
◆ 対策②|窓に防音テープを貼る
窓枠とサッシの隙間から入る「すきま音」をシャットアウトするには、防音パッキンや気密テープの使用がおすすめです。
貼るだけで気密性が上がり、風切り音や小さな声・物音の侵入を軽減できます。
◆ 対策③|窓ガラスそのものを強化
余裕があれば、「内窓(インナーサッシ)」の設置も検討の価値あり。
既存の窓の内側にもう1枚窓を取り付けることで、空気層が音を遮断する“二重窓”構造になります。

私の実家では、インナーサッシを設置したことで、エアコンの効きも良くなり、騒音もかなり減少していたのでおすすめの対策方法です
・インナーサッシ(樹脂製)は騒音を最大40~50%カットできるとされます
・断熱効果も高まるので、冷暖房効率の改善にもつながります
ただし高価…
補助金を活用するのも〇
2. 【壁からの音】隣室・外壁を伝わってくる騒音に
壁は見た目には頑丈そうに見えても、音に対しては意外と“無防備”な場所です。
話し声、テレビの音、外からのエンジン音…これらは壁を通して「空気振動」として響いてきます。
◆ 対策①|壁に吸音材を貼る
ホームセンターなどで購入できる吸音パネルやスポンジ素材のパネルを、壁に貼るだけでも効果的です。
- フェルトパネル(インテリア性も◎)
- ウレタン吸音フォーム
- 吸音ボード(グラスウール・ロックウールなど)
これらを音の侵入方向に合わせて貼るだけでも、反響音や侵入音をかなり緩和できます。

おしゃれな吸音パネルもたくさんあるので内観の雰囲気壊さずよりおしゃれに仕上げる事も可能ですよ。
・「壁の全面」よりも「音がよく聞こえてくる方向」に集中して対策をする方が効果的です
今回一番おすすめの対策方法です。
◆ 対策②|本棚・収納を“壁代わり”に使う
厚みのある本棚やクローゼットを音が気になる壁に沿って置くだけでも、遮音効果があります。
書籍や衣類が音を吸収・拡散してくれるため、「家具の配置」も立派な防音策になります。

そんなことで?と思う方が意外といるかもしれませんね。でも実際皆さん経験していると思いますが、引越し前の部屋では声って響きませんか?引っ越し後では音の響きが変わってますよね。
3. 【床からの音】上下階の問題は、床の工夫がカギ
下からの騒音(車の走行音・外の会話など)や、上からの足音・物音に悩まされている人も多いでしょう。
床は“音を受ける面”でもあるため、振動や衝撃音の対策が求められます。
◆ 対策①|ジョイントマット・防音マットの導入
- EVA素材やコルク製のジョイントマットは、振動吸収性に優れた安価で手軽な対策グッズです
- 小さなお子さんがいるご家庭では、転倒時の安全性も高まるため一石二鳥です
◆ 対策②:カーペット+ラグの“二重敷き”
薄手のラグだけでは衝撃音を十分に吸収できない場合は、カーペット+ラグの二重構造にすることで防音性がぐっと上がります。
「厚み」と「素材」が遮音性に直結するため、ウレタンフォームやフェルト芯入りのマットを選ぶと効果的です
4. 【玄関・換気口・通気孔】盲点になりやすい音の侵入口
意外と見落としがちなのが、玄関ドアや通気孔、換気口などの小さな開口部です。
ここからも、外の話し声や車の音が思った以上に入り込んできます。
◆ 対策①|玄関ドアに防音シート+すきまテープ
ドアの内側に遮音・断熱タイプのシートを貼ることで、ドア全体の遮音性が高まります。
さらに、ドアのすきまに気密テープを貼ることで、隙間風と一緒に音もブロックできます。
◆ 対策②:換気口カバー・吸音フィルター
換気口に貼る専用の防音フィルターや消音パネル付きの換気カバーを取り付けるだけでも、外の音の侵入を大幅に軽減できます。
通気性を完全にふさがないように、適切な換気性能を保ちつつ防音効果がある製品を選ぶことが大切です。
トラブルを防ぎながら“気持ちが伝わる”コミュニケーション術
「上の階の足音が毎晩うるさい…」
「また夜中に大きな声で会話している…」
そんなとき、どうやって伝えれば角が立たないのか──。
音のトラブルは“目に見えない問題”だからこそ、伝え方ひとつで解決にも対立にもつながります。
相手を責めず、気まずくならず、でもきちんと伝わる「注意の仕方」を、実例を交えてご紹介します。
なぜ「言いにくい」のか?
注意したいけど、なかなか言えない…。その心理の裏にはこんな不安があるからです。
- 怒られたり、無視されたらどうしよう
- 逆にトラブルが大きくなるのでは?
- こっちが神経質と思われたくない
- 気まずくなって住みにくくなりそう
確かに、「伝え方」を間違えると関係性が悪化してしまうことも。だからこそ、“慎重かつ効果的”なアプローチが求められるのです。
どうしても注意が言いにくい方は、我慢をせず積極的に防音グッズを取り入れましょう。
注意の伝え方:5つのステップ
① まずは冷静に状況を整理
感情的に伝えると、トラブルはこじれます。まずは、「どの音が」「いつ」「どのくらいの頻度で」気になるのかを客観的に整理しましょう。
例:
・毎晩21時~23時ごろに、椅子を引く音や足音が続いて眠れない
・休日の昼間に、大音量でテレビや音楽が流れている
メモや記録を取っておくと、冷静な伝え方がしやすくなるのでおすすめです。
② 「お願い」の形で伝える
伝えるときは、「注意」よりも「お願い」のスタンスが基本。
「うるさいです!」と直接言ってしまうと、相手も身構えてしまいます。
「苦情がきた」より「お願いされた」と思っていただいた方が、効果はあります。
NG例:「うるさいですよ!もうちょっと静かにしてください」
→ 攻撃的でトラブルのもとに
OK例:「最近、夜になると少し音が気になってしまって…ご配慮いただけると助かります」
→ 柔らかく、相手に配慮を促す形
「お願い」という形にすることで、相手に“自分で考えて改善してもらう”余地を与えることができます。
③ “共感”や“お互いさま”を添える
相手も生活している中で、意図せず音が出てしまっている可能性も。
「あなたも大変ですよね」という共感のひと言を加えると、印象がやわらぎます。
例文:
「お子さんが元気なのはとても良いことだと思いますし、うちも同じような時期がありました。ただ最近、夜になると足音が少し気になってしまって…」
お互いに生活音は避けられない、という“お互いさま”の姿勢を見せることで、敵対心を減らせます。
④ タイミングと方法を見極める
伝える「タイミング」と「手段」にも工夫が必要です。
タイミング
- 感情的になっているときは避ける(音が気になった“直後”は特にNG)
- 朝や夜など相手が忙しい時間帯は避け、休日の昼間など落ち着いている時間にする
方法
- 直接話すのが難しい場合は、「手紙・メモ」で丁寧に伝える
- 管理会社や大家を通じて“間接的”に注意してもらう手も
手紙の例:
〇〇号室の〇〇です。
いつもお世話になっております。
最近、夜に少し足音や物音が気になることがあり、ご連絡させていただきました。
もしご配慮いただけましたら幸いです。
お互い気持ちよく過ごせたらと思っております。
今後ともよろしくお願いいたします。
直接会って伝えるよりも丁寧な文面のほうが冷静に伝わる場合も多いです。
⑤ 伝えたあとは“しばらく様子を見る
伝えたからといって、すぐに改善されるとは限りません。
「気づいてなかった」「気をつけてはいるが完璧ではない」など、相手にも事情があります。
伝えたあとは、「様子を見る時間」を設けましょう。
1~2週間経ってもまったく改善が見られない場合は、管理会社などに相談するステップへ。
注意を“悪印象”にしないためのポイント
やってしまいがちなNG行動 | なぜNGか |
---|---|
大声・怒鳴り口調で伝える | 相手が防衛的になり、対立へ発展する可能性が高い |
張り紙や匿名のメモをドアに貼る | 威圧感や不気味さを与え、関係が悪化する恐れ |
周囲の人に“告げ口”する | 当人のプライドを傷つけ、報復のリスクを生む |
一度で解決しようとする | 相手の生活習慣はすぐには変わらない。根気も必要 |

言いにくいことこそ、丁寧に伝える勇気を
騒音トラブルは、放置していても自然に消えることはほとんどありません。
むしろ、「我慢の限界」→「爆発」→「関係悪化」という流れになりやすいからこそ、早めの“伝え方”が重要になります。
そのためには…
🔹 攻撃的にならない
🔹 相手を思いやる姿勢を見せる
🔹 客観的に事実を伝える
🔹 手紙や管理会社も“手段のひとつ”として活用する
「伝えてくれてよかった」と思われるような、穏やかで誠実な伝え方を意識することで、問題がこじれるのを防ぐことができます。

まとめ|共に暮らすために「音のマナー」を意識しよう
騒音問題は、一人の責任ではなく、すべての住民にとって共有すべき課題です。お互いの暮らしを尊重する「音のマナー」こそが、良好なご近所関係と快適な住環境を支える基本となります。
もしあなたが騒音に悩まされているなら、まずは冷静に状況を整理し、感情的にならず第三者機関に相談するなど、適切な対応を心がけましょう。そして、もし自分が音の発生源かもしれないと思ったときには、「この音、誰かを困らせていないかな?」という視点を持つことが、トラブルを未然に防ぐ第一歩です。
互いに配慮しあえる社会をつくるためにも、音に対する意識を少し変えてみることが大切です。
「生活音」はお互いさま。でも、少しの配慮で大きく変わる
日常生活で出る音は、完全にゼロにはできません。しかし、「どんな音がどれくらい響くのか」「どんな時間帯だと迷惑になるのか」を少し意識するだけでも、近隣との関係は大きく改善します。
集合住宅という“音が共有されやすい環境”だからこそ、お互いの立場を思いやる気持ちが、快適な暮らしの第一歩です。